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未経験エンジニアは「増えすぎ」で本当に「いらない」のか — AI時代に椅子が残る人・消える人の分かれ目

未経験エンジニアが増えすぎ!?転職難易度や将来性への影響は?

「未経験エンジニアは増えすぎ」「未経験はもういらない」——検索するとこうした言葉が並び、これから目指してよいのか、あるいはすでに入った自分は必要とされ続けるのか、不安になっている人は少なくないはずです。

先に結論を置きます。「増えすぎ」という体感は、構造的に見て正しいです。一方で、「いらない」と言われているのは未経験者の全員ではなく、「同じ見た目をした応募」です。この違いを分けて考えないと、必要以上に絶望するか、根拠のない楽観で突っ込むかのどちらかになります。

本記事は、プログラミングスクールを勧めるための記事ではありません。「増えすぎ」と「いらない」の中身を分解し、それでも椅子が残る側に回るには何が要るのかを、編集部の視点で整理します。


●富士通でSE5年、リクルートでWebエンジニア10年 ●リクナビNEXT担当だったため、転職業界に精通 ●現在は事業会社のIT職採用の責任者

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目次

「未経験エンジニアは増えすぎ」という体感は正しい

まず、不安の前提そのものを否定しません。未経験からエンジニアを目指す人が増えたのは事実で、それには明確な構造があります。

スクールの増加と国の補助金が、参入のハードルを下げた

プログラミングスクールはこの十年ほどで大きく数を増やしました。さらに、教育訓練給付制度のように受講料の相当部分が国から給付される仕組みも整い、「学び始めること」自体の金銭的・心理的ハードルは大きく下がっています。

入口が広がれば、入ってくる人は増えます。これは良い悪いではなく、単純な構造です。

在宅ブーム以降、「手に職」志向の受け皿になった

コロナ禍以降のリモートワークの普及、副業ブーム、「手に職をつけて場所に縛られず働く」という言説の広がりによって、ITエンジニアは異業種からの転身先として定番化しました。SNSや動画で「未経験からエンジニアになった」という発信が可視化されたことも、参入を後押ししています。

「システムエンジニア増えすぎ」「Webエンジニア増えすぎ」と職種名で語られる理由

とくに集中が起きているのがWeb系です。「自社開発のWebエンジニア」は働き方のイメージが良く、スクールのカリキュラムもWeb開発を軸に組まれていることが多いため、供給が特定の職種に偏って流れ込んでいます。「Webエンジニア 増えすぎ」「システムエンジニア 増えすぎ」と職種名つきで検索されるのは、この偏りの反映です。

もう一つ、体感を実態以上に増幅している要素があります。SNSと動画です。「未経験からエンジニアになれた」という成功発信と、「何十社落ちた」「未経験はもう無理」という失敗発信は、どちらも拡散されやすい。実際の市場は成功と失敗のあいだのどこかにあるのに、目に入る情報は両極端に寄ります。不安の何割かは、市場そのものではなく情報の偏りが作っています。

つまり「増えすぎ」の正体は、IT業界全体が飽和したことではなく、限られた人気の入口に応募者が集中していることです。飽和なら誰にも椅子はありませんが、集中なら「みんなが並んでいる列」から外れた場所に椅子が残ります。この区別が、後の話のすべての土台になります。

「いらない」のは全員ではない——落とされる応募の共通パターン

次に「未経験エンジニアはいらない」のほうです。採用側の視点に立つと、この言葉の実際の意味が見えてきます。書類選考で落とされ続ける応募には、はっきりした共通パターンがあります。増えたのは未経験者そのものというより、「同じ見た目の応募」なのです。

同型のポートフォリオ

スクール課題をほぼそのまま提出したToDoアプリや、既存サービスのクローン。作った本人にとっては初めての成果物でも、採用側は同じ構成・同じ技術スタック・同じ見た目の作品を、その週だけで何件も見ています。書類の段階で他の応募者と区別がつかないため、作品の出来以前に「比較のしようがない」状態で埋もれます。

テンプレートの志望動機

「手に職をつけたい」「将来性がある業界だから」「場所に縛られない働き方がしたい」。どれも動機として嘘ではありませんが、すべて応募者側の都合であり、その会社でなければならない理由がひと言も書かれていない。採用側から見れば、社名を差し替えれば百社に送れる文面だと一目で分かります。

「教わる前提」の姿勢

面接での質問が「研修はどこまで用意されていますか」「未経験でも大丈夫ですか」に偏っている応募です。育成前提の採用であっても、企業が見ているのは「教えたことを吸収できるか」ではなく「教わっていないことに自分から手を出せるか」。学習の過程で自分がどう調べ、どう詰まり、どう抜けたかを語れない応募は、入社後も指示待ちになると判断されます。

採用担当者は、この三点セットの応募を短期間に何十件も見ます。個々の応募者に悪意も怠慢もなくても、見分けがつかないものは選べない。落ちるのはそのためです。そして不合格通知には理由が書かれないため、落ちた側は「未経験だから落とされた」と解釈し、「未経験はいらない」という言説がまた強化される——この循環が、実態以上に「いらない」を大きく見せています。

裏を返せば、「いらない」と言われているのはあなた個人ではなく、この「見分けのつかない応募の山」です。山から一歩外れる方法は後半で扱います。

AIが先に消した入口仕事、まだ残っている入口仕事

「未経験いらない」言説には、実体のある部分もあります。それは生成AIと自動化の影響です。

狭くなっている入口

仕様が固まったコードを書くだけの単純コーディング、手順書どおりに実行するだけのテスト、定型的な問い合わせへの一次対応。こうした「まず未経験者にやらせて育てる」ための定番の仕事は、生成AIや自動化ツールが最初に置き換えつつある領域と重なっています。従来の「入口」がAIに先回りされている——ここは正直に認めるべき変化です。

理由は単純で、これらの仕事は「手順が明確で、成果の正誤が判定しやすい」からです。それはまさに、新人に任せやすい条件であると同時に、機械に任せやすい条件でもありました。「新人がやっていた仕事」からAIが浸食するのは、偶然ではなく必然です。

まだ残っている入口

一方で、自動化しにくい入口も残っています。

  • 機器やネットワークに物理的に触る必要があるインフラ構築・運用・キッティングなどの現場仕事
  • 顧客・現場・開発の間に立って要件や状況を整理する調整役の下積み
  • そもそも人を育てる前提で設計されている若手採用枠
  • AIが出力したものを検証し、直せる人になるための下ごしらえとしてのテスト設計・運用改善

入口の総量が絞られたぶん、「とりあえず入ってから考える」の難易度は確実に上がりました。ただし、ゼロになったわけではなく、残っている入口は人気の入口と場所がずれているのがポイントです。

もう一点、AIについて付け加えるべき変化があります。AIを使うこと自体は、もう差別化になりません。誰でも使えるからです。差になるのは、AIの出力を鵜呑みにせず「これは正しいか」「なぜ動かないのか」を切り分けられる基礎体力のほう。皮肉なことに、AI時代に価値が上がったのは、AIが書いたコードを疑って検証できる人間です。未経験段階でこの力を証明する手段が、後述する「直した記録」になります。

将来性についても、同じ整理が当てはまります。「エンジニアという職業がAIに消される」のではなく、職業の中の定型部分から順に置き換わり、検証・調整・判断の比重が上がっていく。これは経験の浅い側ほど影響を受けやすい変化ですが、裏を返せば、入口の時点から「定型作業の労働力」ではなく「検証し判断する側」に向かって積み上げる人には、以前より早くその役割が回ってくる環境でもあります。

それでも未経験採用が続く、企業側の事情

「増えすぎ」「いらない」と言われながら、未経験可の求人が消えないのはなぜか。企業側の事情は大きく三つあります。

若手そのものが足りない

少子化で若い労働力の絶対数が減り続けるなか、経験者エンジニアは業界内で取り合いになっています。経験者を採れないなら若手を採って育てるしかない——未経験採用は、多くの会社にとって理想ではなく必要に迫られた選択です。だからこそ、景気の波で募集が増減することはあっても、枠自体が消える構造にはなっていません。

育成前提の採用が合理的な会社がある

変な癖がつく前に自社のやり方に馴染ませたい、経験者より採用競争が緩い、長く働いてもらえる可能性が高い。こうした理由で、未経験採用を一時しのぎではなく戦略として続けている会社があります。このタイプの会社は育成の仕組みに投資しており、入口としての質が高い一方、選考では「育てがいのある人か」を厳しく見ます。前の章で挙げた三点セットの応募が真っ先に落ちるのも、このタイプの会社です。

辞める前提で多めに採る構造も存在する

ここは正直に書きます。一部には、離職率の高さを織り込んで大量採用と大量離職を回す構造の会社もあります。採用のハードルが極端に低く、入りやすさだけを見れば魅力的に映りますが、入ったあとの育成や案件の質は期待できないことが多い。「未経験可の求人がある」ことと「未経験者が大切に育てられる」ことは、同じではありません

つまり求人の存在自体は事実ですが、その中身は玉石混交です。「求人があるから大丈夫」という楽観も、「どうせ使い捨てだ」という悲観も、どちらも雑すぎます。見極める前提で市場に入るのが正解です。

増えすぎ時代に椅子を取る側の条件

ここまでの整理を踏まえると、椅子が残る側に回る条件はかなり具体的に絞れます。

「何を学んだか」より「何を作って、何を直したか」

学習歴は差になりません。同じスクール、同じ教材、同じカリキュラムの修了者が大量にいるからです。差になるのは、自分の意思で何かを作り、動かなくなったものをどう調べてどう直したかの記録です。エラーと格闘した過程、途中で設計を変えた理由、公開後に見つけた不具合と直した箇所——この部分だけは、テンプレートでもAIでも量産できません。

具体的には、作品そのものに加えて「開発中に詰まった点とその解決の経緯」を自分の言葉で残しておくことです。リポジトリの変更履歴や開発メモがそのまま証拠になります。面接で「この機能、途中で作り直していますね。なぜですか」と聞かれて具体的に答えられる応募者は、それだけで山から抜けます。完成度の高い作品を一つ増やすより、直した過程を一つ語れるようにするほうが、選考では効きます。

応募の分散ではなく、的の絞り込み

「未経験は数を打つしかない」と言われがちですが、同じテンプレ応募を百社に送っても、百回同じ理由で落ちるだけです。順序は逆で、職種と会社のタイプを先に絞り、その的に合わせて応募内容を作り込むほうが、見分けのつかない山から抜け出せます。その会社が何の事業でどう稼いでいて、自分の前職経験がどこに接続するのか——そこまで書かれた志望動機は、未経験応募の中ではそれだけで少数派です。

前職の経験は、異業種であっても捨てないでください。販売職なら顧客対応、製造や物流なら手順と安全の管理、事務職なら業務の正確さ。IT以外の経験は「ゼロ」ではなく、応募の的を絞る手がかりであり、同型応募の山と自分を分ける数少ない固有の材料です。

職種選びで競争率は大きく変わる

前述のとおり、応募はWeb系開発職に集中しています。インフラ、運用、社内SE、テスト設計、サポートエンジニアといった職種は、仕事として堅実である一方、応募者側の人気は相対的に薄い。同じ「未経験からIT」でも、どの列に並ぶかで競争の密度はまったく違います。

そして、IT業界は入口の職種が終着点ではありません。運用から構築へ、テストから開発へ、サポートから社内SEへ——中に入って実務経験を積んだ人のキャリアは横にも縦にも動きます。「なりたい職種」と「入りやすく、かつ潰しが効く職種」を分けて考え、後者から入って前者へ寄せていく戦略は、増えすぎ時代にはとくに有効です。

スクールか独学かは、本質ではない

なお、「スクールに行けば有利になるか」という質問には、正直に答えておきます。採用側が見ているのは学習手段ではなく、成果物とその過程です。スクール出身であること自体は加点にも減点にもほぼなりません。スクールは学習を続ける環境として機能することはありますが、「通えば椅子が確保される」類のものではない——むしろ同型ポートフォリオの山は、スクールの画一的な課題から生まれています。手段が何であれ、前述の「自分で作り、自分で直した記録」に落とし込めるかどうかがすべてです。

狙える入口と、避けたほうがいい入口

最後に、入口の質の見分け方です。会社名ではなく、構造で判断します。

狙える入口のサイン

  • 入社後の育成計画や、最初に任せる仕事の内容を具体的に説明できる
  • 面接で配属先や案件の種類を質問したとき、濁さず答えが返ってくる
  • 数年前に未経験で入った社員が定着し、次の段階の仕事に進んでいる

慎重になるべき入口のサイン

  • 選考が極端に短く、志望動機もスキルもほぼ問われずに通る
  • 「充実の研修」を掲げているのに、期間や内容を聞くと説明が曖昧になる
  • 配属先を「入ってから決まる」としか言わない

面接は選ばれる場であると同時に、こちらが構造を見抜く場でもあります。上のサインはすべて、面接での質問一つで確かめられます。

あわせて、入口の現実を一つ。未経験採用の受け皿として最も大きいのはSES(客先常駐)で、憧れの的になりやすい「Web系自社開発に未経験から一発で入る」ルートは、応募が最も集中する最難関の列です。多くの人にとって現実的なのは、SESや受託で実務経験を積み、経験者として次へ動く二段構えのルートになります。だからこそ、最初のSES選びの精度がその後のキャリアを大きく左右します。

SESという業態そのものが悪なのではなく、会社ごとの構造の差が極端に大きい領域です。構造の見分け方はSESの仕組みと会社の選び方の記事で詳しく扱っています。

また、年齢によって使える入口と戦い方は変わります。30代以降で目指す場合の現実的なルートは未経験エンジニアの年齢制限についての記事を、20代でスキルにまだ自信がない場合は20代スキルなしからの転職の記事を参照してください。

「いらない」かどうかは、言説ではなく求人で確かめる

ここまで構造の話をしてきましたが、最終的に信じるべきはネット上の言説ではなく、いま実際に動いている求人です。今日の時点で未経験可の求人がどの職種にどれだけあり、どんなスキルや姿勢を求めているか。それを自分の目で見れば、「いらない」のか「こういう人なら要る」のかは、誰かの意見を経由せずに確認できます。

「増えすぎだからやめておけ」も「人手不足だから大丈夫」も、どちらも求人票一枚見ずに言える言葉です。不安を解消する最短の手段は、市場の現物を自分の目で確かめることに尽きます。

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

求人の現物を確かめる道具としては、求人数が多く未経験向けの検索がしやすい大手を押さえておけば十分です。

  • dodahttps://doda.jp/)——求人検索とエージェントが一体型。未経験可の求人がどの職種に偏っているかを俯瞰するのに向いています。
  • リクルートエージェントhttps://www.r-agent.com/)——保有求人数が業界最大級。非公開分を含め、市場に出ている入口の総量を把握できます。
  • リクナビNEXThttps://next.rikunabi.com/)——エージェントを介さず自分のペースで求人を眺められる転職サイト。まず市場を見るだけの段階でも使えます。

登録して応募する前に、まず「見る」。求人票に書かれている要件そのものが、この記事で書いた「椅子が残る条件」の答え合わせになります。

まとめ——増えたのは「応募者」であって、あなたの競合とは限らない

本記事の要点を整理します。

  • 「未経験エンジニアは増えすぎ」という体感は正しい。スクール・補助金・在宅ブームが参入を増やし、とくにWeb系に応募が集中している
  • 「いらない」と言われているのは、同型ポートフォリオ・テンプレ志望動機・教わる前提の姿勢という「見分けのつかない応募」であって、未経験者全員ではない
  • AIは従来の入口仕事の一部を先に消したが、現場仕事・調整役・育成前提の枠など、残っている入口は人気の入口とずれた場所にある
  • 企業が未経験採用を続ける事情には、若手不足や育成前提の戦略だけでなく、離職を織り込んだ大量採用もある。求人は見極める前提で臨む
  • 差がつくのは学習歴ではなく「何を作って何を直したか」。応募は数を打つより的を絞る

椅子取りゲームで増えたのは椅子の周りに立つ人の数であって、本気で椅子に座りにきている人の数ではありません。同型ポートフォリオとテンプレ志望動機の山から一歩外れた時点で、あなたの実質的な競合は見た目の数字よりずっと少なくなります。「増えすぎだからもう無理」でも「人手不足だから大丈夫」でもなく、不安の中身を構造で分解し、求人の現物と自分の応募内容という動かせる二つに集中する。それが、増えすぎ時代の現実的な答えです。

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