「Web系(自社開発)エンジニアはやめとけ」
このように言われているのを知っていますか?
一方、最先端・ホワイト・服装が自由、と言った印象を持っている人も多いと思います。
どちらが本当なのでしょうか?
筆者は富士通(Sier)で5年、リクルート(Web系)でITエンジニアとして10年働きました。そのため、Web系(自社開発)エンジニアにもSierにも詳しいです。
本記事ではWeb系(自社開発)エンジニアのデメリットについて客観的に説明します。
Web系(自社開発)エンジニアへの転職を考えている方は本記事を最後まで読んで下さい。
なお、未経験からエンジニアへの転職方法については「【6ステップで解説】未経験からエンジニア転職へのロードマップ」を参考にしてみてください。
本記事の内容
- web系(自社開発)エンジニアはやめておけと言われる理由
- web系(自社開発)エンジニアに向いている人
- web系(自社開発)エンジニアへの転職方法

<プロフィール>
富士通でSEを5年、リクルートでWebエンジニアを10年
リクルートでリクナビNEXT担当だったため、転職業界に精通
現在は事業会社のIT部門責任者で採用面接の責任者
IT業界は適切に努力すれば、キャリアアップ・年収アップできます。そのコツやポイントをお伝えします。
「web系エンジニアはやめとけ」と言われる7個の理由

「web系エンジニアはやめておけ」と言われる理由は以下の7個です。
- ほとんどがベンチャーと言う名の零細企業なので不安定
- web系(自社開発)企業以外への転職が難しい
- 40代以降のキャリアを描きづらい
- 労務管理ができておらず、ブラックな職場が多い
- 年収が低い会社や退職金がない会社が多い
- 身に付くスキルの幅が狭い
- フリーランスとして独立しづらい
いずれも、イメージ先行のweb系エンジニアへの転職を検討するには事前に良く理解しておきたいポイントです。
web系(自社開発)企業の特徴をSier(受託開発)と比較することで説明しています。
また、本記事ではweb系の大半を占める従業員数・数百名未満の企業を想定しています。
ほとんどがベンチャーと言う名の零細企業なので不安定
筆者はこの20年以上の間、様々なweb系(自社開発)企業が潰れるのを見てきました。
新規サービスはやってみなければ成功するかどうかは分かりません。また、成功しても大企業が後発で参入し、競争に敗れることも良くあります。Yahooや楽天、メルカリなどは数少ない生き残りであり、勝者なのです。
web系(自社開発)企業の特徴として、各ジャンルで2~3社のみが生き残れると言う点にあります。
例えば、検索エンジンは20年前は20ほどありましたが、現在日本ではgoogleとyahooで9割以上を占めます。その他の検索エンジンはサービス中止に追い込まれました。
一方、Sier(受託開発)は市場規模が巨大で、すそ野が広く、たくさんの企業が事業を成立・継続させています。
web系(自社開発)企業以外への転職が難しい
20代から30代前半くらいまではweb系(自社開発)企業でハードワークでもやりがいが感じられ、楽しいものです。
しかし、結婚して子供ができると収入増や家族の時間が欲しくなる人も増えてきます。人生のステージによって人の価値観は変わっていくからです。
そのときに、web系(自社開発)企業以外への転職を望む人は多いものです。web系(自社開発)のベンチャー企業はハードワークで(ごく一部を除くと)低賃金だからです。
しかし、web系(自社開発)企業の経験をもとに転職するため、即戦力となるのはweb系(自社開発)企業となります。
一般的に異業種への転職は難しいものですが、特にベンチャー企業は働き方が特殊なので一般企業では敬遠される傾向が大きいのです。
40代以降のキャリアを描きづらい
web系(自社開発)企業は設立間もない会社が多いと言う事情もありますが、サービス開発競争に勝ち抜くために20~30代のエンジニアが活躍している会社が多いです。
40代以上は本部長・役員のみと言うことも珍しくありません。
そのため、エンジニアとしては40代以降のキャリアを描くことが難しいのです。
これは何もベンチャー企業に限った話ではありません。
筆者の友人も多くいるのですが、AmazonやGoogleには50代以上はほとんどいません。そう言った会社からweb系(自社開発)企業に転職する人が多いようです。
筆者が勤めていたリクルートも40代以上の社員はほとんどいませんでした。
労務管理ができておらず、ブラックな職場が多い
設立間もないweb系(自社開発)企業の場合、サービス立ち上げのために土日関係なく、働き続けることも珍しくありません。労働時間を気にしていると、新サービス立ち上げは難しいものです。
また、webビジネスは新規参入が多く、競争も激しいので、ブラックになりがちです。
当然、一定の規模に達した企業は、労務管理もしっかりと行い、ホワイト化していきます。
年収が低い会社や退職金がない会社が多い
web系(自社開発)企業のほとんどには退職金はありません。
一方、年収は会社や人によって大きく異なりますが、かなり低年収な会社も多いので要注意です。
web系(自社開発)企業の年収について注意すべき内容は以下2点です。
- 会社ごとに年収帯は大きく異なる
- 同じ会社でも人によって年収は大きく異なる
それぞれの内容について、一つずつ、説明します。
会社ごとに年収帯は大きく異なる
web系(自社開発)企業に限った話ではありませんが、利益率の高さによって会社の年収帯は大きく異なります。
例えば、EC系企業(Amazonなど超大手を除く)は利益率の低い業態なので低収入な会社が多いです。
筆者の知り合いのいる某有名EC企業は、求人募集の年収欄に250~800万円と記載していましたが、800万円は社長の年収で、一般社員の年収は半分以下でした。
ベンチャー企業ではこう言ったことが良くあります。
同じ会社でも人によって年収は大きく異なる
web系(自社開発)企業には年収テーブルがないことが多いため、社長がヘッドハンティングしてきた人は高年収で、それ以外は低年収と言ったことは良くあります。
年収も社長の一存で決まっていることが多いようです。
それから、web系(自社開発)企業は入った時点から年収が大幅に上がらないことも多いので、最初が特に肝心です。
身に付くスキルの幅が狭い
多くのweb系(自社開発)企業は単一サービスのみで成り立っているため、使う技術も限られています。そのため、ITエンジニアとして身に付くスキルの幅は限られます。
サービス開発当初は最先端でも時間の経過とともに時代遅れになるものです。システムを作り直す資金がない場合は、そのまま、運営し続けることになります。
web系(自社開発)企業ではモダンな技術を使うと言われていますが、先端技術を追いかけている会社はごく少数です。
使用言語よりもビジネスモデルの方がサービス提供する上では遥かに重要なのです。
フリーランスとして独立しづらい
フリーランス・エンジニアの仕事は受託開発または常駐派遣のどちらかです。
web系(自社開発)企業出身のエンジニアが特別、独立しやすいわけではありません。
フリーランスとして独立しづらい理由を受託開発・常駐派遣のそれぞれについて説明します。
- 受託開発で苦労する点
- 常駐派遣で苦労する点
受託開発で苦労する点
受託開発は一人で対応可能な規模の開発案件を請け負うタイプです。いわゆるフリーランス・エンジニアはこちらのイメージだと思います。
しかし、依頼主は一般企業が多いのでweb系(自社開発)企業出身者はコミュニケーションの面で苦労することが多いようです。
一般企業は設計書などの資料作成を求め、web系(自社開発)は資料よりも成果物としてのシステムを重視する傾向が強いです。
こう言った違いから一般企業からweb系(自社開発)出身のフリーランスは敬遠されがちです。
常駐派遣で苦労する点
常駐派遣の派遣先は大企業が多いです。
そのため、大企業の仕事の進め方が分からないweb系(自社開発)企業出身のエンジニアは苦労することが多いです。
大企業とweb系(自社開発)企業では仕事の進め方が全く異なるためです。
web系エンジニアに向いている人

本記事ではWeb系(自社開発)エンジニアの主にマイナス面を中心に紹介してきました。
ここではWeb系(自社開発)エンジニアのプラス面を紹介したいと思います。
筆者はリクルートで10年ほど、Web系サービス開発に携わってきました。その過程で某有名EC企業とのジョイントベンチャーで働いたこともあります。マイナス面ばかりでは、10年間も働きません。
ネット記事やYoutubeでは以下のように言われています。
- モダンな開発スキルを身に付けられる
- 服装はスーツではなく、自由
- テレワークなどの導入に積極的
などなど。
それらは正しいものの、本質的ではないと思います。Web系(自社開発)企業の最大のメリットは、「やりがい」だと思います。
Sier(受託開発)では顧客の要望通りにシステム開発するのが仕事です。なぜ、このような機能が必要なのだろう?とか、この機能に意味があるのかな?と思っても、言われた通りに開発することが求められます。
一方、Web系(自社開発)エンジニアは利用者の反応を受けてどんどん、サービス・システムを改善していきます。
大変な面はありますが、利用者の反応も分かり、やりがいが感じられるわけです。サービス開発の一端を担う責任感とやりがいを感じられるわけです。
そのため、そう言ったやりがいが何よりも大切だと思う人はWeb系(自社開発)が向いています。
Web系(自社開発)に転職するには?

エンジニア未経験者と経験者でWeb系(自社開発)企業への転職方法は異なります。
以下、順に説明します。
エンジニア未経験者がWeb系(自社開発)に転職する方法
エンジニア未経験者がWeb系(自社開発)に転職する方法は以下の2通りがあります。
- 未経験から直接、Web系(自社開発)に転職する
- 未経験からSier(受託開発)に転職して経験を積み、Web系(自社開発)に転職する
2つの転職方法について以下、説明します。
合わせて、「未経験からWeb系エンジニアになるなら学ぶべきプログラミング言語7つを徹底解説」もご覧ください。
未経験から直接、Web系(自社開発)に転職する
Web系(自社開発)企業は中小企業が多く、人材育成する余裕がないため、即戦力志向が強いです。
しかし、エンジニア職種は企業側から見ると採用しづらいため、ポテンシャル採用も行っています。
ポテンシャル採用と言っても入社すると自発的に働いてもらわないと企業側としては困るため、ある程度のスキルを求められます。
特にRubyやPHPに関する知識を求められる傾向が強いです。
独学で勉強するのも良いですが時間が掛かり、求められるレベルに達するのに多くの時間が掛かることが多いため、プログラミングスクール活用をおすすめしたいです。
以下の記事を参考にして下さい。
関連>> 【目的別】おすすめのプログラミングスクール厳選7校を徹底比較
未経験からSier(受託開発)に転職して経験を積み、Web系(自社開発)に転職する
Web系(自社開発)企業は即戦力志向が強いため、未経験者は内定を取るのが難しいうえ、入社後も大変です。
入社後の2~3年は平日の就業後・土日を問わず、プログラミングの勉強を続けるような生活を送る必要があります。
そこまではできない!と言う方はSier(受託開発)に転職して経験を積んでからWeb系(自社開発)企業に転職することをおすすめします。
Sier(受託開発)では、システム開発や研修などでスキルアップのチャンスがあります。
最初のキャリアとしてはSier(受託開発)への転職がおすすめです。

エンジニア経験者がWeb系(自社開発)企業に転職する方法
エンジニア経験者がWeb系(自社開発)企業に転職する方法は以下の2通りがあります。
- 求人サイトを使って転職する
- 転職エージェントを使って転職する
2つの転職方法について以下、説明します。
求人サイトを使って転職する
求人サイトを使って転職は最も一般的な方法です。
掲載されている求人を自分で選んで応募したり、登録しておくと企業からオファーを受けることもあります。Web系(自社開発)の求人も多数掲載があります。
転職エージェントを使って転職する
転職エージェントはキャリアアドバイザーが求人の推薦から職務経歴書の添削、面接指導まで行ってくれます。
また、企業についても求人にある以上の内容を把握して、その内容を教えてくれるため、情報収集の点でも有利です。
求人サイトと転職エージェントは併用することがおすすめです。求人サイトで見つけた求人に転職エージェント経由で応募することもできます。
筆者おすすめの転職サイト・エージェントの三点セットは以下の通りです。
転職エージェントとは、求職者と採用企業の間を仲介してくれるサービスを指し、転職サイトとは求人案件を見て、求職者が自ら応募するサービスのことを指しています。
転職サイトと転職エージェントは併用するのがおすすめです。
1位:doda
【公式】https://doda.jp/
筆者の3年に渡る転職活動を支えてくれた面倒見の良い業界No2の転職エージェント
2位:リクルートエージェント
【公式】https://www.r-agent.com/
求人数の質・量共に業界No1の転職エージェント
3位:リクナビNEXT
【公式】https://next.rikunabi.com/
お宝求人が隠されていることがある業界No1の転職サイト
詳しくは「【doda評判】年収250万円アップした30代後半での3年掛かりの異業種への転職成功秘話」をご覧ください。
web系(自社開発)企業への転職を検討している人への経験者からのアドバス

ITエンジニアの転職先は大きくは、web系(自社開発)とSierの二つがあります。それぞれに対する向き不向きは以下の記事を参考にして下さい。
関連>> SIerとWeb系の違いと向き不向き|両方の経験から言えること
私はweb系(自社開発)のリクルート、Sierの富士通の両方の勤務経験があります。また、リクルートでは有名EC企業とのジョイントベンチャーで働いたこともあります。
その経験から以下のような理由のみで、web系(自社開発)企業への転職を希望しているなら、やめた方が良いと考えます。
- 自由な服装
- 最新技術が使える
- 有名なYoutuberが良いと言っていた
Webサービス開発を手掛けてやりがいを感じたい、と言う人に向いていると思います。
逆にそれ以外の人にはSierの方がおすすめです。
筆者はIT業界の変遷を20年以上見てきましたが、web系(自社開発)エンジニアとしての仕事は30代前半くらいまでは楽しいものです。
しかし、そこから将来に対する不安を感じ始めるころにはweb系(自社開発)企業からSierなどに脱出したくてもできなくなります。この点がweb系(自社開発)エンジニアの最大のリスクと言えるでしょう。
本記事で説明したようなデメリットをしっかりと理解した上で転職すべきかどうかを検討下さい。
転職活動には転職サイトと転職エージェントを併用利用するのがおすすめです。
転職エージェントとは、求職者と採用企業の間を仲介してくれるサービスを指し、転職サイトとは求人案件を見て、求職者が自ら応募するサービスのことを指しています。
おすすめの転職サイト・エージェントの三点セットは以下の通りです。
1位:doda
【公式】https://doda.jp/
筆者の3年に渡る転職活動を支えてくれた面倒見の良い業界No2の転職エージェント
2位:リクルートエージェント
【公式】https://www.r-agent.com/
業界最大級の非公開求人数を誇る業界No1の転職エージェント
3位:リクナビNEXT
【公式】https://next.rikunabi.com/
お宝求人が隠されていることがある業界No1の転職サイト
詳しくは「【doda評判】年収250万円アップした30代後半での3年掛かりの異業種への転職成功秘話」をご覧ください。
コメント